Never Withered Flowers

宝塚歌劇団と2010年代のK-POPを愛する、20代会社員のブログ。星風まどかさんと芹香斗亜さんに心を奪われています。宙組ファン。

雪組「fff -フォルティッシッシモ-」@宝塚大劇場&東京千秋楽配信

いつの話やねん!という感じですが、4月中旬に一応途中まで書いてたんですよ。

 

上田久美子先生の本は、登場人物がみんな魅力的。特に娘役を魅力的に描けるのは素晴らしいことだと思っています。

ストーリーもストレスなく見られる。宝塚に限らずですが、ストーリー自体はいいのに、ちょっとした表現によって物語への集中を妨げられることもあります。しかし個人的に、今のところウエクミ先生の演出された作品でそういうのはない。

 

fff、よかったです。ロシアでルイとナポレオンが語り合うシーンまでは(おい)。

そこからがなんかちょっと引っ掛かったんです。

私は世界史選択だったけど、ナポレオンがしたこととかは全然覚えてなくて(笑)

ふーん、皇帝になりたかったのね、と思って見てました。で、彼は理想を達成するために戦争を行う。多くの人が犠牲になる。

でね、ロシアのシーンで、戦争の隊列と音楽のリズムが一緒だ!…みたいな話をするじゃないですか?

あ、そこ被せちゃっていいんだ?って思ったんです。戦争も芸術だ!みたいな。ちょっと違和感。

ルイがそこで興奮するのもよく分からなかった。ナポレオンが崇高な理想を持っていることが分かったから、尊敬の念を取り戻すのはよく分かったけど!

あそこはルイの精神世界の話だから、そんなに突っ込んで考える必要はな…あるでしょ!!(笑)あのシーンは重要でしょ!(セルフツッコミ)

でもね、お互いに好きな作家を叫び合うところはとても好きだった。表出した形は違うけれど、お互い同じものを読んで、同じ理想を掲げて必死に生きてきたんだな、と感じました。

ルサンク買って台本読んでみようかな。あとみなさんのブログとか。ナポレオンに関する本も読んだほうがいいんだろうけど、読む気力はない…。

 

謎の女ちゃんの正体も分かるわけだけど、ルイを殺すことに抵抗を示してるのもよく分からなかった。

でも大千秋楽見てやっと気づきました。

謎の女ちゃんはルイでもある。だから、死を促しながらも何かを恐れているような謎の女ちゃんは、つまり自分の自殺願望に必死で抵抗しようとしているルイの意思の現れなのか!と。

そして自分の運命を受け入れたルイは、自分の苦しみ悲しみ絶望を抱き締めて、歓喜に至る。

 

で、やっぱり最後が唐突だったな…。彼の音楽によって、彼も彼の周囲の人も、そして後世に生きる私たちも救われたことを示してるのかな、と思うんですが、大千秋楽の日まで、結局私は気持ちがついていけないままだった…。ハッピーエンドだという認識ではある。

お父さんとメッテルニヒがニコニコ歌ってましたけど、そこにお父さんがいるのも許せなかった(笑)子どもに暴力を振るうお父さんは悪ですもん、ルイ、そんなお父さんは許さなくてよろしい!!だけど、そんな過去も全て昇華して歓喜に至ったということなのでしょう。

トップの退団公演であるということを踏まえれば、アリかなあ。先生も、トップの退団公演だからこそこういう演出をしたのだろうし。

 

だいきほという、宝塚の歴史でも随一の、実力に穴のないトップコンビの退団作品にこの作品を当てたのは、素晴らしい選択だったと思うけれど、正直寂しさもありました。個人的にはね。

ルイと謎の女は、2人でひとつ。この役をトップコンビに当てるのは餞別として素敵だし、のぞみさん真彩ちゃんに対する信頼も感じました。

実際、観る前までは、なんて素敵なキャラクター設定だろうと思ってたんです。真彩ちゃんがのぞみさんの「人生の旅の友」なんて、真彩ちゃんは相手役として嬉しいだろうなあ、と。

でも私が宝塚で見たいのって、異なる2人の人生が交わっていくストーリーなんだな、と観劇して気が付きました。

別々の環境で育ってきた男と女が出会って…というストーリー。別に恋仲にならなくてもいいんですけど、別々の2人が歩み寄っていくストーリーが好きなんですよねー。

完全に私の好みの問題です。

 

あと書いておきたいのは、ロールヘン、ジュリエッタ、小さな炎、執事。

 

まず視覚的な話ですが、ロールヘンが水色のドレス、ジュリエッタが赤色のドレスを着てルイを囲むところ、ただただ美しかったなあ…。私自身は、上田久美子先生のそういうセンスに絶対的な信頼を置いています。

上田久美子先生は、キーとなる娘役(主演男役から想いを寄せられる役かな?)には水色を着させるというツイートをどこかで見かけた。私は全作品見てるわけじゃないけど、確かにそうかも。なんで水色なんでしょうね。

 

ロールヘンの「ルイ、ルイ、大丈夫よ わたしここにいるわ」という歌が大好きでした。

ロールヘンの温かさ、家族のようにルイを想う気持ちが伝わってきて。その温かさが、ルイにとっては時に残酷でもあっただろうけど。

希和ちゃん(朝月希和さん)はわたしあんまり見たことないんだけど、上級生らしく、大人のしっとりしたお役が似合いますね。

トップ娘役就任、おめでとうございます。

 

ジュリエッタの夢白ちゃんもよかったー!

硬質な美しさが際立ってました。やっぱりふとした瞬間、となみちゃん(白羽ゆりさん)に似ている。でももっと硬くて(←良い意味で)ひんやりした感じの美しさ。

耳が聞こえなくなったルイが指揮を強行して、それを止めるジュリエッタが好きでした。

ムラでは結構「え、他人事なの??」っていうレベルであっさり冷たい止め方だった気がしてたんだけど、大千秋楽を配信で見たら、もっと戸惑いとか、ルイが指揮できなくなったことへの悲しさとかを感じられるようになっていた気がする。

 

小さな炎。

とっても素敵でした…!

小さな炎がルイの元に現れたとき、心から感動しました。ルイはこの炎を携えて、暗闇も超えていこうとした。途中で消えてしまったりもしたけれど、ルイの希望であり生きる力。そして学問の可能性を感じさせてくれた。

笙乃茅桜さんは小柄ですが、かわいらしくて力強い!退団、寂しいです。

 

ゆめ真音さん演じる執事。

初見のとき、ここで泣いちゃったよー。

ルイは、労働の対価と、本=知識を得て、自らで自らの道を切り開いていく希望、力を見つけたんだね。

それまでは自分の才能を親に搾取され、体力的にも精神的にも死にたいと思うくらいに辛かった、でも一筋の光を見出した瞬間。

執事ってつまり使用人という立場だと思うんだけど、貴族の夫人ではなく執事から本が渡される、っていうのが良いと思った。

そしてゆめさんの演技がとても好きでした。短いセリフだけど、慈愛に満ちた優しい声。こちらも非常に退団が惜しいです…ちょうどスチールを見て、気になっていたタイミングでもあったので。早速再始動されていて嬉しいけれど、もっともっと宝塚で見たかった!

 

ということで、ざっと感想を書いてみた。

シルクロードも書けたらいいけど、もう記憶が…円盤ないし…。